三木さんの活動にはいろいろご紹介したいことが多いのだが、それができないままになっていた。たまたま今日不二出版から届いた「近代沖縄新聞集成」DVD版の刊行案内に列記された編集に携わった刊行委員のなかに、三木さんの名前を見つけた。
沖縄の新聞をDVD化することがどう特別なことかと思う方もいるかもしれない。沖縄で最初の新聞は1893年の琉球新報で、それ以降沖縄新聞、南国日報など、いろいろ創刊された。しかし、これら沖縄の新聞のほとんどのバックナンバーが沖縄戦で焼失したため、現在の沖縄には島外の国会図書館などにあった新聞から作成したマイクロフィルムしか存在しない。たとえば2006年、私は準備していた移民展の展示品として琉球新報に当時の新聞をお借りしたいと申し出たことがあったが、「全部燃えたのでありません」という驚きの回答が返ってきたのを覚えている。同様に多くの戸籍も焼失しており、沖縄では移民の親族探しが容易ではないことを知り、あらためて沖縄戦の犠牲の大きさを痛感したものだ。
今回6回の配本で57万円で販売されるのは、こういった島の外に保管されていた沖縄の新聞すべてをDVD化し、検索システムを搭載したものだ。三木さんは推薦文のなかで、「新聞は歴史の一級史料である」と書いている。確かに沖縄の新聞は、現在に至るまでに「沖縄」が体験した複雑で屈辱的な歴史を丹念に伝えることができる。地理的な距離だけではなく、沖縄が本土とは気候、風習、成り立ちにおいても異文化空間であることもよくわかる。そして、沖縄戦以降も、基地問題でアメリカとヤマト(本土)とに振り回され続けている。本土には伝わらない沖縄の深い傷、ウチナンチュー意識の根源を知るのにも役立つことだろう。私自身に購入することはできないが、是非機会があったらゆっくり目をとおしたいと思う。