移民120年祭も無事終わりました。滞在中、ネット環境がなかったので、これから少しずつ報告していきたいと思います。
まずは、待望の『マブイの往来』のフランス語版『AMES ERRANTES』の出版です。この仏語タイトル、「彷徨える魂」と意味で、マデレポール出版のジルベールがつけてくれました。とても気に入っているタイトルです。
出版記念講演会は、7月3日に、ポワンディミエのメディアテークで行いました。この本は、この地域の多くの方の協力で書きあげることができたものですから、ここで最初の講演ができるのはとても光栄でした。ポール・ネアウティン市長(写真のサンタクロースのような髭の人)も来てくださり、本もお買い上げいただきました。
私は、この日、数日前に亡くなった新城安森さんの長男、フェリックスのことを思いながらお話しました。講演会の後、娘さんふたりがわざわざ挨拶をしにきてくださったのですが、特にフランスから葬儀のために来ていた長女の方からは、「父からよくお名前をお聞きしていましたよ」と言われ、胸が一杯になりました。フェリックスに会うといつも本当に楽しいでした。初めて出会ったのはたぶん2006年で、私がポワンディミエのご自宅を訪問することになると、大慌てで父親のお墓を掃除したと笑っていました。そのときコンクリートで作られたお墓を真っ白く塗ったものですから、墓石に刻まれた文字がすっかり読みにくくなりましたが、、、
とにかく、ふたりでよく昔話をして大笑いをしました。もちろん私は彼と同じ時代を生きていたのではないのですが、いろんな人から話を聞いているので、まるで自分自身もその時代を生きていたと錯覚するくらい、当時のことを語ることができました。
フェリックスのお父さんは、ポワンディミエの少し南にあるイナ川が雨で増水したときに、馬ごと流されてしまいました。結局、帽子がひとつ残っただけだったそうです。その後、お父さんの従兄弟の新城喜吉さんが、フェリックスたち兄弟をひきとり、自分の子供と一緒に育てたとのことでした。今も、イナ川の橋のそばをとおると、特にツバメが低くたくさん飛んでいるときは、いつもこの話を思い出すのです。フェリックスの冥福を心よりお祈りしたいと思います。

講演会で販売中の拙著 ph:G. Bladinières