ヌメアのカレド・リーヴルという地元の専門書を扱う書店でレクチャーをした。まず、店主ドミニクの「2012年出版の本のなかで、僕が一番いいと思ったのがこの本です」という賛辞から始まり、それに気を良くして勢いで話しだしたら、これがうまくいった。というのも、もともと予定されていた出版社のジルベール、この本の主人公比嘉伝三の三女セシル、名誉領事のマリージョーと私にくわえ、翻訳してくれたYさん、手帖の持ち主松田幸三郎さんの次女ルシー、元公文書館館長のイスメットはじめ、関係者や協力者も来てくれ心強くなった。なにより、セシルやルシーという当事者の言葉は聴衆の胸を打った。その後、レクチャーはいつのまにか討論会になり、移民の話は、カレドニアの歴史教育、政府の日本人への謝罪問題にまで発展していった。会場に足を運んでくださった方々に感謝したい。後で聞くところ、60〜70人集まっただろうか、私が初めてお目にかかる顔ぶれは、歴史家、詩人、ジャーナリスト、作家の方だったという。
翌日、別件でジルベールに会ったら、370册売れた分の著作権料をくれた。契約書をちゃんと読んでなかったから嬉しい驚きだった。2012年のベストセラーの10冊の1冊に選ばれただけのことはある(笑)。