早朝3年ぶりに私はヘイから懐かしいキャンベラに向かう。高速道路が快適で、思った以上に早く着いた。そのまままっすぐ国立公文書館に行って、申請してあったドキュメントを見た。そのなかのひとつは、ラヴデーキャンプで自殺した人の記録だった。
それから、ディクソンの友人の家に向かった。2009年に文化庁の在外研修員として来たときに、最初に泊めてもらった家だ。彼女の留守中、愛犬カイトと過ごした日が懐かしい。
友人ののろけ話を聞いた後、一緒にANUの教授のレクチャーを聴きにいった。その後、キャンベラで人気のタイ風麺料理の店で食べ、キャンベラ100年を記念するプロジェクションを一緒に見に行った。今では東京駅同様、どこでも建物にプロジェクションするのが流行っているようだ。キャンベラらしく垢抜けない催しだったが、それでも記念すべきする年に帰ってくることができたのは悪くない。それにキャンベラは奈良の姉妹都市である。
市制100年を迎えたキャンベラは、今年1年、観光スポットをまわる無料バスを走らせている。早速乗ってみると、普通のバスの経路と違い、ほんとにいい市内観光になった。半日で、ナショナル・ギャラリーでアボリジニアートを見た後、ナショナル・ライブラリーでランチをしながらメールをチェックし、そして古巣のナショナル・ミュージアムに行くことができた。ナショナル・ミュージアムの新しいレストランはグリフィン湖を見ながら落ち着いて食事ができる場にかわっていた。最後はシティで降りて、歩いて友人の家に戻った。5ヶ月間滞在した頃の感覚が少しずつ戻ってきて、とても不思議な気分になった。
翌朝、キャンベラ空港まで友人に送ってもらった。すっかりきれいに改装された空港は、少し首都らしいものになっていた。しかし、かつてあったフリーWifiがなくなっていたので、書き溜めたメールを送ることができないまま、シドニーに向かう小さなプロペラ機に乗り込むことになった。

ボールを投げてもらうのを待つカイト