パリのケ・ブランリー美術館で開催中の「KANAK, L’ART EST UNE PAROLE」をみた。予想以上に大きな展覧会で、質と量を兼ね備えた素晴らしいコレクションが美しいライティングのなかで見事な存在感をみせていた。カナックの酋長のカーズ(家)の扉を飾っていた彫刻類が並ぶ最初の部屋、後半のマスク、カナックが風習のなかで使用するいろんなもの(道具)にくわえ、ヨーロッパ人がどのように「カナック」を、そしてその「アート」を捉えていたかが伝わる豊富な資料も展示されている。おそらく かつての宗主国フランスで今迄に誰も見たことのない規模の「ニューカレドニア」に関する展覧会だ。展示されているものは、ドイツやスイスなどヨーロッパ各地の博物館や、ラシェルやトゥールーズといったフランスの地方の博物館のコレクションである。キャプションに書かれた所蔵先をひとつひとつ確認しながら、植民地化の歴史とかさなる事実に新鮮な驚きを覚えた。

コレクションの多くが、ニューカレドニアの東海岸の小さな集落から宣教師や探検家によって持ち出されたもので、もともとの出先の地名を見ると、日本人移民(特に沖縄)が多く住み着いていた馴染みある場所であることに感慨深いものがあった。詳細はもっとカタログ(これまた秀越)を読んでからあらためて紹介したいと思うが、とりあえず、パリに行く方には絶対見てほしい。6月にはヌメアに凱旋すると聞くが、どう考えてもすべてが巡回することはないだろう。そのかわりにニューカレドニアにあるものが加えられるだろうが。