インドネシア出身のジュマーディはモスクワ、ドイツ、タイなど世界各国で作品を発表しているアーティストだ。彼はカウラで滞在制作をして、シンポジウム初日の最後に作品を披露した。
彼のプレゼンテーションは私の展覧会同様、金森マユさんのディレクションによるカウラ・アート・プロジェクトのプログラムのひとつである。もうひとつは慰霊祭の日にあるパフォーマンスである。
ジュマーディは、本番数日前に彼の滞在するホテルで制作をしていて、私は運良くその制作過程をのぞくことができた。廃材ともいえる厚紙で切り抜かれた人や動物、風景など、どれも造形的に魅力的だ。それをOHPで映写するというアナログな手法だが、ジュマーディの手にかかるとみごとに詩的な物語がうまれる。型紙の高さを巧みにかえ、カメラのレンズのようなボケをうまく取り込んでいく。となりで友人が夕飯の準備をしていつのに、手伝いもせずに思わず夢中になって見いってしまった。作品には、生死、戦争、侵略、精霊、自然や動植物が登場し、ここカウラやオーストラリアの歴史を語っているようだった。
彼のプレゼンテーションには生の音楽が付随する。生演奏するのはメルボルン在住のレアで、美しい声を持つ音楽家だ。オリジナルのビオラや、いろんな楽器というか音のでるものを使って印象的な音の世界をつくりだす。カウラで初めて出会ったレアは、数年前に滋賀で作品を発表したことを話してくれた。しかも彼女を招待したのは私の大学時代の同級生だという。世界はほんとに狭い。
ふたりの作品や、活動は、Nikkei Austrakiaのサイトやfacebookを見ていただく方が詳しい。

滞在先のホテルで準備するジュマーディ


影絵のための切り抜き


本番@カウラ・シビック・センター