京都東山三条にあるギャラリー16で、個展「Dialogues.」が始まりました。搬入はいつもの教え子ふたりを中心に、それまでの各種準備は勤務先のいろんな技術スタッフ、学生に助けてもらいました。(感謝!)
今回のメイン会場での展示は写真インスタレーションです。写真作品のなかにはアーカイヴを撮影した写真も均質化して混在させています。そのア−カイヴが、キャプションのように他の写真の説明役を果たしています。アーカイヴには仏語、英語、日本語が混じっていて、それによって日本人移民のいた時代の言語環境を演出しています。理解できない言語イコール失われた言語で、戦争で関係が断絶した親子が自分たちの意志に反して別の国に暮らすことになり、共通の言語を失ったこと、つまり対話する方法を失ったことで味わった苦悩を示唆しています。
手前の別室ではドキュメントと記録映像を展示しています。いずれもDialogues.というタイトルどおり、私自身が向き合って「対話」してきたいろんな活動の軌跡がここにあります。
5月2日(土)17時から、若手でご活躍の林田新さん(写真論、写真史、視覚文化論)と対談を行います。彼と初めてお目にかかったときに、対談のタイトルを「アーカイブと対話する」と決めました。それがきっかけになって、私は予定以上に今回の展示にアーカイヴを撮った写真をとりこみました。
林田さんが、研究員として所属しておられる京都市立芸術大学芸術資源センターで開催された一連の講演会をベースに執筆された「拡張するアーカイブ」が興味深いテキストがあります。「アーカイブ」は単に古い文献ではなく、未来と強く結びついていく架け橋になるのだということ、それはdialogues.(対話)、現在の私と過去の誰か、過去の誰かとその人の子孫、などいろんなかたちで対話をくりかえすためのメディアになっているのではないでしょうか。うまく言葉にはできませんが、林田さんとの対談から、なにかおもしろい視点を見いだせるような気がしています。
http://www.ameet.jp/digital-archives/digital-archives_20150324/
http://www.ameet.jp/digital-archives/digital-archives_20150415/